お正月にクリスマスSS・・・

/理樹

灰色の空から白い雪が降ってくる

ぼんやりとしたそれは地面に触れると溶け、跡も残さず消えていく

明日の天気はどうかな、なんて考えもうっすら消えてしまう

今日は、12月25日

いわゆるクリスマス

僕たちリトルバスターズは食堂を借りてパーティーをするはずだったけど、風邪を引いてしまい僕は部屋にいる

恭介たちは気遣ってくれたけど、その所為でパーティーが中止されるのは嫌だったから送り出した

楽しまなくちゃ、僕はみんなが楽しんでることが嬉しいんだから

そう言うと、渋々ではあったけど行ってくれた

時間は、12時過ぎ

言うなれば、昼食時

食欲が湧いたら食べろよ、と恭介が置いて行ったお粥

土鍋だったおかげか、まだ温かい

体が内から温まるのを感じて、自分の体温が今まで低かったことを認識させられる

みんなは今頃楽しく騒いでいるだろう、想像するだけで笑みがこぼれる

あぁ、楽しいなぁ

 

　　　　『クリスマスパーティ』

 

/恭介

朝食の時、食堂に理樹が来なかった

真人に聞いてみるとどうやら風邪を引いたようだ

様子を見に行って酷いようだったら今日のパーティは中止にする予定だった

部屋に向かうといつもより暖かかった、真人も成長したじゃないか

が、理樹の具合はなかなかに悪いようだった

パーティは中止と考えていたが理樹に止められた

そんなこと言われたら嘘でもやるしかなくなってしまう

俺は食堂のおばさんに頼んでお粥を作ってもらい、部屋に置いて行った

そして今は、食堂にいる

「･･･というわけだ」

理樹の容体を話し、理樹の要望も伝える

「理樹の頼みとはいえ、それはちょっとな･･･」

「でもよ、理樹はそれが嫌だって言ったんじゃねえのか？」

「むぅ･･･」

「まぁ、今は楽しんでお土産話片手に理樹の所に行こうぜ」

「･･･、そうだな」

「じゃあ楽しむぞ!!」

クリスマスパーティ、発案したのはリトルバスターズだが（主に恭介･筋肉×２）参加するのはリトルバスターズのメンバーだけではない

他の生徒も参加するので、楽しい話はたくさん持って帰ることができそうだ

パーティは恭介の芝居がかった演説から始まった･･･

 

10分もすると、やはりというかみんなどこか元気がなさそうだった

「･･･やっぱり理樹がいないと駄目だな」

「理樹君は私たちが楽しくないと嫌だ、と言っても私たちは理樹君がいないとつまらないものだな」

いやはや、愛されてるな。理樹

「じゃあ、理樹の部屋に行くか？」

「････」

「とまぁ、みんなで行っても理樹に怪しまれるだろう」

「そこでだ･･･」

 

/理樹

やっぱり暇だ

眠るにもさっきまで眠り続けていたから全然眠れない

ごろごろ、･･･ごろごろ、･･･ごろごろ。ガチャッ　おや？

「ふー、食いすぎちまったぜ」

「真人？」

時計はまだ1時を指していた

「パーティはどうしたの？」

「いやな、食い過ぎちまって気分悪くなったからよ」

と言って筋トレを始める真人

「っておかしいよね!?」

「何言ってんだ理樹？今日は筋肉リスマスだろ？」

さも当然のように言う真人、あれ？そう言われればそんな気が･･･

「するわけないよっ、筋肉リスマスってなにさ!」

「うるせえ先生様だなぁ、腹ごなしだ」

と言って腹筋を再開させる真人。腹筋って余計に気持ち悪くなると思うんだけど

視界の隅から「ふっふっふっふっ」と軽快なリズムが聞こえてくる

あぁ、落ち着く

筋トレで落ち着くのもどうかと思うけど、それだけに真人の筋トレは日常なのだ

「ねぇ真人。パーティ楽しかった？」

「あ？あぁ、楽しかったぜ？」

「そっか」

･･･真人は嘘を吐いている

原因はわからないけどパーティが真人の望む形のものではなかったらしい

「でも、理樹がいなかったからつまらなかったぜ」

･･･この発言に嘘はない

「うん。ありがとう」

「僕も寂しかったよ」

「照れるぜ」

そう言って筋トレを再開させる

真人と話していたら再び眠気がやってきた

心地よいリズムを耳に入れながら、意識は少しずつ遠くなっていく

･･･

小さい頃の夢を見ている

辛い記憶ではなく、僕の両親がまだ生きていた頃の夢だ

サンタクロースとは僕にとって両親だった

そもそも、寝てる間にプレゼントを置いて行くのではなく、堂々と僕に「何を買ってほしい？」と聞いてしまっていたからである

まぁ、両親は「サンタさんに奢ってもらう」という苦しい言い訳をするのだが

僕の両親はプレゼントを、「サンタさんから受け取っておいた」という親密ぶりを発揮しながら渡していた。つまり両親経由でサンタからプレゼントがきていた

そんな中継のお陰で、僕のサンタは両親だったのだ

両親の笑顔と一緒に送られるプレゼント

それを満面の笑みで受け取る幼き自分

･･･やっぱり、辛い記憶だったかもしれない

サンタの人形が掲げている小さな火が溶けていく

あぁ、夢が終わるのか

もう少し、浸っていたい。もう少し、眠っていたい

視界が真っ暗になる

･･･

「ん･･･」

筋トレの音（呼び方がわからないっ!?）を聞いていて眠ってしまったのか

「お、起きたか？」

「あれ？恭介？」

時計はまだ4時30分、予定では地獄の野球盤大会だったはずだが？

「あぁ、拉致された」

「えぇー？」

意味不明なことを当然のことのように言う恭介

「さて質問」

じゃかじゃん♪と小気味のいい音が聞こえてくる

「今日は何の日？ふっふふ～」

パクリだ

「今日は、クリスマスじゃないの？」

「正解！」

じゃ～じゃ～じゃじゃじゃじゃじゃじゃ～～～♪とまた言葉で伝えにくい音声が聞こえてくる

「今日はクリスマスだからな。屈強なサンタに連れ去られちまったんだ」

「いや、文章が意味不明すぎて何を言いたいのかわからないよ」

「そうか、じゃあサンタに登場してもらおう」

がちゃっ、とドアが開き出てきたのは･･･

「筋肉リスマス！！」

屈強なサンタクロースだった。って

「真人、何やってるのさ」

「なに言ってるんだ理樹？俺は筋肉ロースだぜ？」

何が何でも筋肉と連結させたいらしい

「筋肉がはみ出てるよ、真人」

「何っ？そいつはやべえぜ･･･ってしまったあああああああああああああ」

「いや、バレバレだから」

「で、何やってるのさ？」

「お前が寝てる間にクリスマスプレゼントを持ってきたのさ！」

無駄に爽やかに言われても違和感しかないよ

「クリスマスプレゼント？」

「いやな、さっき話してた時『寂しかった』って言ったろ？こいつらは真人様からのクリスマスプレゼントだ」

こいつら？

扉の前に立っていた真人の影からリトルバスターズの面々が現れた

「みんな、パーティは？」

「理樹がいないとつまらないからな」

「皆はもう、理樹君なしじゃ生きられない体になってしまったのだよ」

「みんなで遊ぶからパーティは楽しいのですよ～」

「それに、「病は気から」と言いますし」

「一人でいると余計に具合が悪くなっちゃいますヨ！」

「早く元気になって下さいです」

一気に騒がしくなる

「みんな、お前の仲間だぞ」

謙吾が締めくくる

「お前が俺たちが楽しむのを望むと言ってもな、俺たちはお前が楽しんでるのが嬉しいんだからな」

「･･･」

正直言葉が出ない

こんなにも暖かかったなんて、知らなかった

いや、再認識させられた

「ありがとう」

そう言うと、みんなは満足そうに頷いた

「じゃあ、何して遊ぶ？」

こうして一日が終わる

色気もなんにもない一日だったけど、幸せだった

人の温かさを知った

二度と忘れず、これからも歩んでいきたい

 

～これまた落ちなし～

 

 

 

 

 

 

あとがき
あけましておめでとうございます。研修生です
落ちなし。気をつけないといけないですね
これはクリスマスと言っておきながら、お正月も地味に混じっております
基本はクリスマスです。最後の「歩んでいきたい」は抱負という形でお正月ですぁ
正直、頭がパンク気味です
ちょい冬の寒さで頭を冷やします。日記の形で更新等はするでしょうが、二次創作は一定期間控えさせてもらうことになります
勝手をどうかお許しください
2月中旬にはなんらかの成長を持って帰ってきたいと思います
しばしさようなら～