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「もし、タイムマシンが存在していたとしてもだ」
「別におまえはここに留まることを選んだわけじゃないだろ?」
「え?どういう意味?」
「言ってしまえば、おまえが生まれてさえいれば、過去にだってお前は存在するんだ」
「つまりだな…そいつに言わせれば、時間を遡ってもまた出会えると、そう考えたんじゃないのか」
「それは今のおまえじゃないが、紛れもない、おまえだ」
え…
すると…
もしかして…
僕らはもう出会っているのかも…しれない。
タイムマシンの行き先 -prologue-
夢だ、夢を見ている。
いつもの悪夢ではなく、無理やり忘れようとしたはずの昔の夢。
夢と知ってても抗わないのは、これが僕にとって優しい記憶とわかっているから。
「あっそぼーー!りっきくーーーん!」
金髪をふたつに結った女の子が走ってくる。
少し前に引っ越してきた、とても元気な子だ。
「うん。なにして遊ぶ?」
といっても、何をするのかはしっている。
彼女がいつも小脇に抱えているサッカーボール。
お父さんに買ってもらったんだ、と嬉しそうにいってた。
「サッカーしよっ」
「いいよ」
いつもこうして日が暮れるまで遊んでいる。
いつもいつも、日が暮れるまで。
そんな時間が僕は大好きで、いつまでも続けばいいと思っていた。
…結果的には、僕がいなくなることで終わりを告げるのだけど。
恭介や他のみんなと出会い、しばらくしてから一度戻ってきたことがある。しかし、彼女を見つけることは叶わなかった。
きっと僕の初恋の人。
こうも胸がぽっかりと空いたような感覚に襲われるのだから、きっと初恋。
しかしまぁ、初恋は実らない。とはよく言ったものだ。
当然、その後も彼女と会う事はなかった。
しばらくして僕は、みんなと一緒に高校へ進学する。
心に何かを残したまま、それに気づかず笑って。
「…き、…りき、理樹っ」
僕を呼ぶ声で目を覚ます。どうやらまた眠ってしまっていたらしい。
「恭介?」
「入学式早々とはやってくれるじゃないか」
「へ、あ…」
ナルコレプシー。
数年前から僕に付きまとう病気だ。
「な、学校に言っておいてよかっただろ」
「発案者は謙吾だけどね」
「おっと、喋ってる時間もなさそうだ」
「寮の歓迎会か…」
恭介が腕時計を見て言う。確かにそろそろ行かないと遅刻しそうだ。
「真人たちは?」
「あいつらは先に行ってる。歓迎会の準備だ」
「あ、そっか」
本来働くべきではない謙吾と真人がいないのは、力ありそうだから手伝え、ということだろう。
働くべきである恭介がここにいることについてはもはやツッコむまい。
「これからもよろしくね」
「どうした、改まって?」
「基本は大切かと」
「なるほど。暇ができるなんて思うんじゃねえぞ?」
「望むところだよ」
寮の歓迎会はとても騒がしかった。
恭介を中心に真人や、挑発されて謙吾が騒ぎ、食堂内はただならぬ熱狂を見せた。
鈴は騒がしいのが嫌だったのか、それとも巻き込まれるのが嫌だったのか、いつの間にかいなくなっていた。
「ふぅ」
本当に恭介は暇をさせてくれないようだ。
僕は疲れて、ひとり空気を吸いに表に出た。
少し離れただけなのに、食堂内とは打って変わり、透明な暗闇に包まれる。
嫌いな闇だけど、気分転換にはちょうどよかった。
不意に、ポン、ポンと向こうから音が聞こえてきた。
足は無意識に歩を進め、なんでか知らないけど壁に隠れてその方向を覗いていた。
すると街頭の僅かな明かりの下、女の人がボールを蹴っていた。
少しミスマッチな光景だったけど、その人があまりにも綺麗で言葉を失ってしまう。
……違う、それ以前に強い既視感を覚えた。
「だれ?」
ぎょっとした、考えてみれば影から覗くなんてただの変質者だ。
逃げるともうどんな言い訳もできなくなるので、意を決して壁から出る。
「ごめん。覗くつもりはなかったんだ」
「…サッカーやってるあたしもおかしいもんね。あたしも悪いわ、ごめんなさい」
「いやいや、君が謝ることじゃないよ」
「あたしは謝りたいから謝るの」
「そう…」
自分に正直な人らしい。
「なによ、もっと男らしくしなさい」
「うん、ごめん」
「何で謝るのよ…」
「ごめ…」
「あーもう!あなた名前は!?」
「直枝理樹」
「理樹くん…ね、なよなよしてたら女の子と間違えられちゃうよ」
「そ、そんなことないよっ」
実際、女装してくれ!と言われたことがないわけでもないが。
悔しいから反論してみたけど…
男らしくしなさい。
本来怒るべきであるその言葉に不思議な懐かしさを感じた。
すごく懐かしい、温かな違和感。
「理樹くん?」
「ごめん。どうしたの?」
「寮に戻らないの?」
「うん、少し涼みたくて」
「そう、じゃああたしも付き合うわ」
「ありがとう」
初対面なのにどうしてそこまで付き合うのか不思議だったけど、自然に頷いてしまっていた。
そう、これは初対面ではないような、懐かしい空気のせい。
それはまだ、僕の両親が死んでしまう前の…
嫌な方向に進みかける思考をシャットアウトして、疑問に思ったことを口にする。
「サッカー、好きなの?」
「あたしは好きよ、サッカー。あなたは?」
「嫌いではないよ。でもまぁ、昔は好きだった」
「どうして、今も好きじゃないの?」
「昔好きだった子が好きなスポーツだったから」
「うわ、よくそんな恥ずかしいこと言えるわね…」
「小さい頃の事だしね」
「今も好きじゃないの?」
さっきと同じ質問。
だけどその意味は違う意味で…
「わからない。離れ離れになっちゃったから」
「へえ」
やっぱり自然と答えてしまう。
もうほとんど覚えていない、あの子にどことなく似ている女子。
似ているから話したのだろうか、自分でもわからない。
「覚えてるなら大事な思い出じゃないの?」
「夢を見て思い出したんだ。だからそれまで忘れてた」
ひょっとしたら、それは恭介でも真人でもよかったのかもしれない。
ただ、もしあの子が今こうして目の前にいるのであれば…それは奇跡とも言えるのではないか。
「口止めしなくていいの?明日には広まってるかもしれないわよ」
「その時はその時だよ」
「刹那的ね、もっと考えて行動なさい」
「今を楽しみたいんだ。ところで君の名前は?」
「時東あや」
「時東さん、か」
「あたしも名前で呼ぶから、下で呼んでもいいわよ」
「それじゃあ、あやさん。うん、こっちの方がしっくりくる」
「そう、それはよかった」
不思議な懐かしさを感じるこの少女は時東あやという名前らしい。
その後も他愛のない会話を繰り返す。
こうして高校初日の夜を過ごす。
騒がしくも楽しい、日々の始まり。
不思議な出会いで幕を閉じるのであった。
続いちまえ
あとがき
ども、研修生です。
久々に活動再開しようと思ったら、エクスタシー発売、カウンター10000目前、だと言うのにカウンター死亡。0からやり直しって…。
まぁ、カウンターが0になったのは、不祥事に陥った際、対応に焦った私の所為なのですが(苦笑)
沙耶ED後の別の理樹とあやの話です。
『時東あや』というのは研修室でもリンクさせていてだいております『光神社』の神主様こと、『神主あんぱん』さんからお告げをいただきました。
相談したところを助けていただきましたので、有り難く使わせてもらいます。
読みは朱鷺戸と同じく、公式で発表されるその日まで、仮苗字と言った形ですね。
これはプロローグ的なものです。
非常に微妙かつ中途半端な終わりですが、軌道に乗るまで(いつの話だ)お待ちいただけたら嬉しい限りです。
更新はゆっくりながらも決して停止しないように頑張ります!
ではでは~
Web拍手ってこれでいいんですかね?
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web拍手を送る</a>
※呼称修正
本当に申し訳ありませんでした。
…はい、すみません。頑張って書きますw
コメントありがとうございました!
なんだかもうバラバラにして埋められそうなくらい放置していたので戦々恐々としていたのですが、励まされるばかりで…
とりあえず沙耶熱(どんなだ)が残っているうちに完結させて、ゆっくり熟成させたいです。
どうぞこれからもよろしくお願いします。
……なんというか、ご愁傷様です。
っと冗談はさておきwコメントありがとうございます!
ハイペース更新はできそうにないですが、1,2週間に一度くらいのスローペースで頑張りたいです。
コメントありがとうございます!
世間的に夏休みと言われるような微妙な休日を過ごしているので今のうちに書きすすめたいです。
どうやらエクスタシー発売と同時に二次創作も脚光を浴びるようになったようですね(笑)
過疎状態の普段と比べて愉快なくらいプレッシャーがおんぶをせがんできます(笑)
でもそれだけに意欲も上がるってものです。できるだけ早く、かつおもしろい作品を作りますよ!
私も沙耶ルートを終えて「これは幸せになるべき」と今に至っているわけですw
ただいま「幸せ」の定義とその対照を模索中です、はい(意味不明
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二次創作がメインで、現在一次創作は停止気味です。
暇なとき、「のんびりしていこう」という場所がここであればとても嬉しいです。
最近の衝撃:
寝言「魔貫光殺砲」
…そうですか、緑の人ですか。
注意:
ルールとかとやかく言うのは嫌ですが、一応と。
他の作家の皆様も何人か迷惑しているそうなのでこちらも。
まぁ、最低限の常識は守ってください。ということです。
文書の無断使用・転載はなさらないよう御願い致します。