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いらっしゃいませ!
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その人には表情がなかった

喜び・怒り・哀しみ・楽しみ

その人は自分のことを『ロボット』だと言った

でも、その人はロボットなんかではなかった

一度だけ見せたその人の怒り

隣にいた僕でさえ逃げ出したくなるほどの剣幕

何時しか僕はその人に好意を抱いていた

仲間として。という意味ではなく、『恋してる』って意味での好意だった

強くて、時にはネジが外れるけど冷静で、愉快で

そして、普段は恥ずかしいことを言ってくるのにこっちが少し恥ずかしいことを言うと真っ赤になる

その人は可愛かった

僕たちは付き合っていた

でも、それは夢だったのだ

限られた時間内での夢

夢は朝が来れば巻き戻される

ただ、刻限が数か月の間だけだったという話

しかし、その人は時間に抗おうとした

だから強制的に目を覚まさせられた

世界は夢を弾いて巻き戻った

しかし、そこに歪みが生じた

強制的に戻るのは世界にも負担があったのだ

それのお陰で僕はまたその人と会うことができた

ほんの少しの間だけ・・・

ささやかな、本当に夢のような時間

さぁ、扉を開こう


 

 


シンクロニクル~傍観の間~

 

「・・・き君。理樹君」

僕を呼ぶ声が聞こえる

来ヶ谷さんだ

「ん、僕どうしてたんだっけ?」

眠ってしまっていたようだ

・・・でも、さっきまで暗い場所にいた気がするんだけど。夢だろうか

「数学の授業を抜け出して来たんだろう、そして私が似顔絵に修正を加えている間に寝ていたんだ」

「そうだっけ?ごめんね。折角呼んでくれたのに」

しかし、また似顔絵に加筆していたのか・・・

「なに、これから相手をしてくれればいいさ」

「そうだね。で、何をすればいいの?」

「・・・・・・む」

沈黙

「・・・何でもいい、他愛のない会話だ」

「でも、最近来ヶ谷さんと一緒にいるから話題なんてほぼ共通だよ?」

「・・・・・・む」

またしても沈黙

「・・・じゃあさっきまで寝ていただろう。夢なんか見なかったのか?」

夢。夢なんか忘れるようにしてるんだけどね。

でも、さっきのは夢じゃないような気がする

「う~ん。夢かどうかわからないけどさっきまで暗い場所にいた気がする」

「全く会話の進展しなさそうな内容だな」

「ごもっともです」

「だが、『いた気がする』というのは気になるな。夢なら『いた』なんてはっきりとした実感などないはずだ」

「しかし、理樹君は私の目の前にずっといた」

「でも、ただの夢だと思うよ」

「そう片付けてしまうと暇になるだろう」

そうか。本気で暇だったのか

そう言えばこういう人だったな

しかし、夢じゃないというのならなんなのだろうか

暗く、寒い部屋。たくさんの・・・扉?

少し、頭が痛くなった

「大丈夫か?理樹君」

心配そうに覗き込んでくる

「うん。大丈夫だよ」

強がったものの、頭痛が止むことはなかった

「どう見ても大丈夫そうには見えないが」

まぁ、僕の演技で人を騙せるはずもなく・・・

「さぁ、お姉さんの体を求めろ」

「なんでそんな表現になるのさ」

肩を借りて部屋まで移動した

ベッドに入り、虚空を見つめる

僕のベッドの上にはもう一つベッドがある

ずっと一緒にいたはずの人

面白くて、優しい人

でも、名前も顔も浮かばない

自分の部屋の場所までわかっていてルームメイトの名前がわからないのだ

何とも言えない悔しさに唇を噛む

「そんなことしたら血が出るぞ。どうしたんだ?」

「な、なんでもないよ」

こんなこと言ったら正気を疑われるだろう

そもそも説明なんてできない

「ふむ・・・」

察してくれたのか、それ以上の追求はなかった

「まぁ、これでも食べて元気を出せ」

キレイに切られたリンゴが皿に乗っていた

そしてまな板の上にはリンゴの皮で『鬱』と書かれてるような気がした

「いつかもこんなことがあったような・・・」

しかもレベルアップしてる

「なに、気のせいさ」

「そう、だね・・・」

思わず苦笑

いつの間にか頭痛は消えていた

「理樹君」

「ありがとう」

いきなりそんなことを言ってきた

「何が?」

「色々とだよ」

と言って口にリンゴを入れられる

そして頭に手を乗せ

「ほら、具合が悪いならもう寝た方がいい」

もう頭は痛くないのだけれど、言われると同時に眠気が襲ってきた

「もう少し、起きてるよ」

「さっきも寝てて暇させちゃったしね」

「そうか」

「なら、眠れるように話でも聞かせてやろう」

いきなりな流れだった

「一人の少女がいたんだ」

「その少女には感情がなく、親も嘆いていた」

「それを見て少女はできるだけ笑みを浮かべるようにはした」

「しかし、感情なんてものは少しも混ざってなかった」

「冷たい感情のまま少女は高校生まで成長した」

この話は、知ってる・・・彼女の人生だ

「そして二年生になったとき、面白い集団が周りにいた」

「少女はその集団に加わり、楽しい日々を過ごした」

どうしてか、頭痛がしてきた

「何時しか少女には普通の笑顔が戻っていたのだ」

「まぁ、そのこと自体に少女は気づいていなかったのだが」

話がだんだん遠ざかっていく

「その集団の中の一人の少年がいた」

「その少年が少女に感情があると気付かせてくれたんだ」

「・・・ありがとうな、理樹君」

唇になにか柔らかいものが触れた気がした

「・・・私は、どこであれ傍観者なのだよ」

「ただ、君が早く戻ってくることを祈ってる」

「がんばれ」

その言葉を最後に意識は途切れた

・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

またこの部屋に来る

暗い、寒い、寂しい

たくさんの扉がある

たくさんの人の想い

それを取り戻して、僕は必ず帰ってくる

来ヶ谷さん。どうして忘れてしまっていたのだろうか

今度こそ姿を失わないように心に刻んでおく

「大変そうだな」

背後から突然聞こえた声に振り向く

身長は180cmより少し低いくらいだろうか

髪は茶色、目は褐色だった

「あなたは?」

その人は悲しそうに表情を歪めて

「お前の、兄貴だ」

と、言った

「僕の、兄?」

僕に兄弟なんていたのか?そもそも家族なんていなかったはずだ

だけど、きっと扉を開いて行くうちに思い出すだろう

「でも、どうやってここに入って来たの?」

自分でさえわからないのになんでこの人は入ってこれるんだろうか

「前に似たようなことをしてたもんでね。要領は得てるんだよ」

いったい何をすればこんなことできるのだろうか

「それで、何をしに来たの?」

「そうだな、手助けにでも来た。と言っておこう」

「まぁ、お前の記憶探しのアドバイスでもするさ」

この人は本当に何者なのだろう

知ってる筈なのに名前が出てこない

次の扉で誰かわかればいいけど

「と、言いたいところだが俺にも予想外の出来事ではあるのでね」

「お前がもう少し記憶を探してる間にコツでも見つけるさ」

「というわけで、最初の方は頑張ってくれ」

「うん・・・」

どうしてこの人は手助けしてくれるのだろうか

そして、やはり兄弟というのも気になる

『みんな』の中の誰かだろうか

「どうした?」

「ん、どうして手助けしてくれるの?」

「そりゃあ、仲間だからさ」

大事なことがわかった

この人は大切な人だ

少し元気が出てきた

もっと頑張ろう

真っ暗な部屋は、少しだけ、明るくなっていた

 

 

こんなでも続く

 

 

 

 

 

 


あとがき
はい、またしても研修生です
なんかどうも言葉にできない。というのが心境でございます
「なんか違うんだーー!」と頭を加圧しながら書いた割りには駄文ですね
どうにかうまいこと書きたいのですが・・・
+恭介も違和感ありまくりだったなぁ

どうも学生の天敵「テスト」なるものが来週に控えているらしいです
逝ってきます
というわけで次の更新はやや先になるかと思われます。申し訳ございません

クリスマス寂しいのは私だけじゃないはず・・・orz

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いつのまに!?
おー。いつの間にかSSがアップされている・・・
なるほど、不思議でどこか神秘的なまさにシンクロニクルっぽいSSですね。

なるほど、こういう話かな?と頭の中ではわかった気もするんですが・・・ここでその内容を書くのは無粋ですね。ということで次回も楽しみに待たせていただきますよ~
っておい!? 2007/12/06(Thu)14:46: 編集
Re:いつのまに!?
展開が読まれるのはやっぱり未熟なんでしょうね
私がシンクロニクルでしたいのは
自分のキャラに対する位置づけと複数駒の動かし方の練習ですかね
やはり恭介や姉御も変ですし、自分で読み返しても人を引き付けられるものではないな
と痛感しておりました
今後ゆっくりまったりと精進していきたいと思います
どうか生暖かい視線で見ていてください。きっと春頃には雪と一緒に溶けるでしょう
ってなんじゃそりゃ
【2007/12/06 16:08】
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性別:
男性
誕生日:
1980/02/26
職業:
学生
趣味:
散歩
自己紹介:
 プロフィールを詐称する癖があります。
 二次創作がメインで、現在一次創作は停止気味です。
 暇なとき、「のんびりしていこう」という場所がここであればとても嬉しいです。

最近の衝撃:
 寝言「魔貫光殺砲」
 …そうですか、緑の人ですか。

注意:
 ルールとかとやかく言うのは嫌ですが、一応と。
 他の作家の皆様も何人か迷惑しているそうなのでこちらも。
 まぁ、最低限の常識は守ってください。ということです。

 文書の無断使用・転載はなさらないよう御願い致します。
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